遺言書の作り方と費用について

福山市の行政書士が解説

その遺言書、要件を一つ欠くだけで無効になります。

法律で決まっている要件から、法務局の保管制度、公証役場の手数料まで、このページで一通り分かります。

ご相談・お見積り 無料 出張相談も対応
自筆証書遺言 55,000円〜 作成サポート費用
公正証書遺言 2〜3か月 相談から完成まで

遺言書は、法律で決められた要件を一つでも欠くと無効になります。日付を「令和8年8月吉日」と書いた、パソコンで作成した、押印を忘れた——実際に無効とされた例は少なくありません。
このページでは、ご自身で遺言書を書かれる方に向けて、民法が定める要件と、実務でつまずきやすいポイントを、福山市の行政書士が整理してご説明します。

TYPE遺言書には3つの方式があります

民法で定められた遺言の方式は3つですが、実際に使われているのはほぼ「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2つです。

 自筆証書遺言公正証書遺言
根拠条文 民法第968条 民法第969条
作り方 本人がすべて手書きする 公証人が本人の口述をもとに作成する
証人 不要 2人以上必要
費用 紙とペンだけ。法務局に預ける場合は3,900円 財産額に応じた公証人手数料(遺言加算を含めおおむね2万円〜
無効になるリスク 高い(形式不備・内容の不明確さ) 低い(公証人が関与する)
家庭裁判所の検認 必要(法務局に預けた場合は不要) 不要
向いている方 財産がシンプル、まず一度書いてみたい方 不動産がある、確実に実現させたい方

※3つ目の「秘密証書遺言」(民法第970条)は、内容を秘密にしたまま存在だけを公証人に証明してもらう方式ですが、手間がかかるうえ無効リスクも残るため、ほとんど利用されていません。

RULE自筆証書遺言の4つの要件

自筆証書遺言は、民法第968条第1項で次の4つが求められています。この4つのうちどれか一つでも欠けると無効です。

これを満たさないと無効になります
  1. 全文を自分で手書きする パソコン、代筆、録音、動画はすべて認められません。ボールペンや万年筆など、消えない筆記具を使ってください。
  2. 日付を正確に手書きする 「令和8年8月23日」のように、年月日を特定できる形で。「8月吉日」は日が特定できず無効になります。
  3. 氏名を手書きする 戸籍どおりの本名で書きます。ペンネームや通称は避けてください。
  4. 押印する 実印が確実です。認印でも法律上は有効ですが、本人のものかどうかで争いになることがあります。

財産目録だけは手書きでなくても構いません。2019年の法改正により、財産目録はパソコンで作成したり、通帳のコピーや不動産の登記事項証明書を添付したりできるようになりました。ただし、目録の各ページに署名と押印が必要です(民法第968条第2項)。両面に記載がある場合は、その両面に必要です。

書き間違えたときの直し方にもルールがあります

民法第968条第3項は、加筆・削除・訂正の方法まで定めています。変更した場所を指示し、変更した旨を付記して署名し、さらに変更した場所に押印する——この手順を守らないと、その訂正はなかったことになります。市販の書類のように二重線と訂正印だけで済ませると、意図した内容になりません。

実務上は、書き損じたら最初から書き直すほうが安全です。数枚書き直す手間より、無効になるリスクのほうがはるかに大きいためです。

EXAMPLE書き方の文例

もっとも基本的な形です。実際には、財産の内容やご家族の状況に応じて書き方を変える必要があります。

遺言書

遺言者 福山 太郎は、次のとおり遺言する。

第1条 遺言者は、遺言者の有する下記の不動産を、妻 福山 花子(昭和○年○月○日生)に相続させる。
    所 在 広島県福山市○○町○丁目
    地 番 ○番○
    地 目 宅地
    地 積 ○○.○○平方メートル

第2条 遺言者は、遺言者名義の下記預金を、長男 福山 一郎(昭和○年○月○日生)に相続させる。
    ○○銀行 ○○支店 普通預金 口座番号○○○○○○○

第3条 遺言者は、前2条に記載した以外の一切の財産を、妻 福山 花子に相続させる。

第4条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、妻 福山 花子を指定する。

付言事項
 長い間、私を支えてくれた家族に心から感謝しています。この遺言は、誰かを優遇するためのものではありません。皆が争わずに済むようにと考えて決めました。どうか仲良く過ごしてください。

令和○年○月○日
広島県福山市○○町○丁目○番○号
遺言者 福山 太郎 ㊞

書くときのポイント

  • 不動産は「自宅」ではなく、登記事項証明書のとおりに所在・地番・地目・地積を書く
  • マンションは「敷地権の表示」まで、未登記建物は固定資産税の課税明細のとおりに書く
  • 預貯金は金融機関名・支店名・種別・口座番号まで特定する
  • 相続人には「相続させる」、相続人以外には「遺贈する」と書き分ける
  • 書き漏れに備えて「その他一切の財産は〇〇に相続させる」の一文を入れておく
  • 遺言執行者を決めておくと、手続きが格段にスムーズになる
  • 財産を受け取る方が先に亡くなった場合に備え、予備的な指定(「〇〇が遺言者より先に死亡した場合は△△に相続させる」)も検討する
  • 付言事項に理由や感謝を書き添えると、家族の納得につながる

MISTAKEよくある失敗

日付を「吉日」と書いてしまった

「令和○年8月吉日」は日付が特定できないため、遺言書全体が無効になります。複数の遺言書が出てきたときに、どちらが新しいか判断できなくなるためです。必ず年月日まで書いてください。

財産の書き方があいまいだった

「自宅は妻に」「預金は長男に」といった書き方では、どの不動産・どの口座を指すのか特定できず、金融機関や法務局で手続きが通らないことがあります。形式は有効でも、使えない遺言書になってしまいます。

訂正の仕方を間違えた

二重線を引いて訂正印を押しただけでは、民法の定める方式を満たしません。訂正した部分だけが効力を持たず、書いたつもりの内容とは違う遺言書になってしまいます。書き損じたら、面倒でも一から書き直してください。

遺留分を考えずに書いた

配偶者・子・直系尊属には、最低限の取り分(遺留分)が保障されています。「全財産を長男に」と書くと、他の相続人から金銭の請求(遺留分侵害額請求)を受け、かえって争いのもとになることがあります。遺言書は有効でも、家族が揉めてしまっては意味がありません。
※兄弟姉妹には遺留分がありません。

書いたあと、誰にも伝えなかった

仏壇や金庫の奥にしまい込み、亡くなった後に見つけてもらえないケースがあります。せっかく書いた遺言書が見つからなければ、ないのと同じです。保管場所は、信頼できる方や遺言執行者に伝えておいてください。

KEEP法務局に預けられます(自筆証書遺言書保管制度)

2020年7月から、自筆で書いた遺言書を法務局に預けられる制度が始まりました。手数料は1件3,900円で、以後の保管に追加費用はかかりません。原本は遺言者の死亡後50年間、画像データは150年間保管されます。

この制度のメリット

  • 紛失・破棄・書き換えの心配がなくなる
  • 家庭裁判所の検認が不要になる(相続後の手続きが早く進む)
  • 預けるときに、法務局の職員(遺言書保管官)が形式面を確認してくれる
  • 全国どこの法務局でも、相続開始後に内容の確認ができる
  • あらかじめ希望しておけば、亡くなったときに指定した方(最大3名)へ通知が届く

申請できるのはご本人だけです

保管の申請は、遺言者ご本人が法務局へ出向いて行います。代理人による申請も、郵送での申請もできません。事前予約が必須で、顔写真付きの本人確認書類が必要です。申請先は、住所地・本籍地・所有する不動産の所在地のいずれかを管轄する法務局から選びます。

預けるときの様式ルール

この制度を使う場合は、法務省令で定められた様式に沿って作成する必要があります。1文字でも余白にはみ出すと、やり直しになります。

用紙A4サイズのみ
余白上5mm以上・下10mm以上・左20mm以上・右5mm以上
記載面片面のみ(裏面への記載は不可)
ページ番号各ページに通し番号(例:1/2、2/2)を記載する
綴じ方ホチキス止めをしない/封をしない(無封で提出)

出典:法務省「自筆証書遺言書保管制度」(法務局における遺言書の保管等に関する省令 別記第1号様式)

2026年3月の改正:住所を伏せられるようになりました

令和8年(2026年)3月2日施行の省令改正により、証明書や閲覧画面において、特定の方の住所・本籍を非表示にする措置を申し出られるようになりました。DVなどから避難している方の居場所が、相続手続きを通じて相手方に知られてしまうことを防ぐためのものです。

ただし、遺言書の原本と画像データそのものは非表示にできません。そもそも本文中に住所を書かない、というのが最も確実な対策になります。

法務局は「内容」までは見てくれません。確認されるのは、自書か、日付や氏名があるか、押印があるかといった外形的な点だけです。この制度は、預けた遺言書の有効性を保証するものではありません。書かれている内容が実現できるものか、争いのもとにならないかは、ご自身で判断する必要があります。預ける前に一度、専門家にご相談ください。

FLOW公正証書遺言の作成の流れ

確実に実現させたい場合は、公正証書遺言をおすすめしています。ご相談から完成まで、おおむね2〜3か月です。

  1. ご相談・初回ヒアリング

    どなたに何を残したいか、ご事情をうかがいます。初回相談は無料です。

  2. 財産・相続人の確認

    戸籍を収集して相続人を確定し、不動産の登記事項証明書や残高証明などで財産を確認します。

  3. 遺言内容の検討

    遺留分や税負担にも配慮しながら、遺言書の案を作成します。何度でも書き直せますので、ご納得いくまでご相談ください。

  4. 必要書類の収集

    戸籍謄本、印鑑証明書、登記事項証明書、固定資産評価証明書などを取りそろえます。当事務所で代行できるものは代行します。

  5. 公証役場との事前打ち合わせ

    公証人と文案をやり取りし、作成日を調整します。ご本人が何度も足を運ぶ必要はありません。

  6. 公証役場で遺言書を作成

    証人2人立ち会いのもと、遺言書が完成します。証人は当事務所で手配いたします。ご体調により公証役場へお越しになれない場合は、公証人にご自宅や病院へ出張してもらうこともできます。

2025年10月から、公正証書の作成手続きがデジタル化されました。一定の要件のもとでウェブ会議による作成や、電子データでの証書の保存・交付が可能になっています。対応状況は公証役場ごとに異なりますので、ご希望の場合は事前にご相談ください。

COST公証人手数料はいくらかかる?

公正証書遺言では、公証役場に手数料を支払います。金額は「公証人手数料令」という政令で全国一律に決まっており、2025年10月1日に約20年ぶりの改正がありました。古い金額を載せたままのサイトも多いので、比較される際はご注意ください。

ポイントは、財産の総額ではなく「誰がいくら受け取るか」ごとに計算して合算することです。さらに、遺言の目的の価額の合計が1億円以下の場合は、遺言加算13,000円が上乗せされます。

財産の価額ごとの手数料表を見る(2025年10月1日以降)
目的の価額手数料
50万円まで3,000円
100万円まで5,000円
200万円まで7,000円
500万円まで13,000円
1,000万円まで20,000円
3,000万円まで26,000円
5,000万円まで33,000円
1億円まで49,000円

1億円を超える場合は、超過額5,000万円までごとに一定額を加算する方式で計算します。

計算例:総額3,000万円を、妻に2,000万円・長男に1,000万円

妻の分(2,000万円)
26,000円
長男の分(1,000万円)
20,000円
遺言加算
13,000円
公証人手数料の合計59,000円

このほか、正本・謄本の発行手数料(紙の場合は用紙1枚につき300円、電子データの場合は1件2,500円)がかかります。公証人にご自宅や病院へ出張してもらう場合は、手数料の加算に加えて日当・交通費が別途必要です。

出典:日本公証人連合会「2025年10月1日から公正証書の手数料が変わります」(公証人手数料令/令和7年政令第263号改正、令和7年10月1日施行)

SUPPORT行政書士がお手伝いできること

遺言書は、ご自身で書けば費用はかかりません。ただ、形式が整っていても「使えない遺言書」になってしまうことがあります。文案の作成から公証役場との調整まで、まとめてお引き受けします。

  • ご希望をうかがったうえでの遺言書の文案作成
  • 戸籍の収集による相続人の調査・確定
  • 不動産・預貯金などの財産調査と財産目録の作成
  • 公証役場との打ち合わせ・日程調整
  • 公正証書遺言の証人2人の手配
  • 遺言執行者への就任
  • 書き上げた遺言書のチェック(形式・内容の両面から)

※相続登記など法務局への登記申請は司法書士、相続税の申告は税理士の業務です。必要な場合は、連携する専門家をご紹介します。

PRICE費用の目安

ご相談・お見積りは無料です。ご納得いただいてから正式にご依頼いただけます。

自筆証書遺言 原案作成サポート

55,000円〜(税込)

  • 財産目録の整理
  • 遺言書文案の作成
  • 形式・内容の確認

法務局の保管制度を利用する場合、手数料3,900円が別途必要です。

公正証書遺言 原案作成・公証役場対応

88,000円〜(税込)

  • 財産目録・文案の作成
  • 公証役場との調整
  • 必要書類のご案内
  • 証人2名の手配

公証人手数料・証人費用は別途。財産額に応じて変わります。

※ 事案の難易度や書類の準備状況により変わりますので、正式なお見積りは無料相談の際にご案内します。すでにご自身で書かれた遺言書のチェックのみのご依頼も承ります。費用の全体は 料金表 をご覧ください。

FAQよくあるご質問

遺言書は何歳から書けますか。

15歳以上であれば書けます(民法第961条)。上限はありませんが、認知症などで判断能力が失われた後は作成できません。「まだ早い」と思われるうちに準備しておくのが確実です。

一度書いた遺言書は、書き直せますか。

いつでも、何度でも書き直せます。内容が抵触する場合は、日付の新しい遺言書が優先されます。法務局に預けた遺言書も、撤回の手続きをとって取り戻すことができます。

パソコンで作った遺言書は無効ですか。

自筆証書遺言としては無効です。有効なのは、全文が手書きされたものだけです。ただし、財産目録の部分に限ってはパソコンで作成できます(各ページに署名・押印が必要)。パソコンで作りたい場合は、公正証書遺言をご検討ください。

家族に内緒で作れますか。

作成すること自体は可能です。ただし、亡くなった後に発見されなければ意味がありません。内容までは伝えなくても、「遺言書を書いてある」「保管場所はここ」ということだけは、信頼できる方に伝えておくことをおすすめします。法務局の保管制度の死亡時通知を使う方法もあります。

遺言執行者は誰に頼めばいいですか。

ご家族でも構いませんが、相続人の一人を指定すると、他の相続人との関係で負担が大きくなることがあります。当事務所が遺言執行者に就任することもできますので、ご相談ください。

遺言書のご相談、承ります

「何をどう書けばいいのか分からない」——その段階でご相談いただいて構いません。
代表が最初から最後まで直接対応します。

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