建設業許可の500万円要件とは?自己資本・残高証明書による証明方法を解説【福山市】

建設業許可の「500万円要件(財産的基礎)」を福山市の行政書士が解説。現金で必要?いつ必要?自己資本の計算方法、預金残高証明書の有効期限、個人事業主・新設法人の注意点まで広島県の手引きに沿って分かりやすく説明します。


建設業許可の取得を検討されている事業者様から、最もよくいただくご質問のひとつが**「500万円って結局なにが必要なんですか?」**というものです。

「現金で500万円持っていないとダメ?」「通帳に一瞬でも500万円あればいい?」「個人事業主の場合はどう計算するの?」――このあたりは誤解も多いポイントです。

この記事では、建設業許可の7つの要件のひとつである**「財産的基礎」(いわゆる500万円要件)**について、広島県知事許可(一般建設業)を前提に、証明方法・必要書類・よくある落とし穴まで詳しく解説します。

建設業許可の要件全体については、こちらの記事をご覧ください。 →【建設業許可新規申請の7つの要件とは?

目次

財産的基礎とは?法律上の根拠

財産的基礎とは、ひとことで言えば**「請け負った工事をきちんと最後まで完成させられるだけのお金の裏付けがあるか」**を確認するための要件です。

建設工事では、資材の購入や職人さんへの支払いなど、工事代金を受け取る前に先行してお金が出ていきます。資金繰りが立ち行かなくなれば、工事が途中で止まり、発注者に大きな損害を与えてしまいます。そこで建設業法は、発注者保護の観点から、許可の条件として一定の財産的基礎を求めています。

根拠条文は建設業法第7条第4号です。

請負契約(第三条第一項ただし書の政令で定める軽微な建設工事に係るものを除く。)を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有しないことが明らかな者でないこと。

(出典:建設業法第7条第4号/e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000100)

条文は「有しないことが明らかな者でないこと」という回りくどい書き方ですが、実務上は次のとおり具体的な基準が定められています。

一般建設業の財産的基礎|3つの基準のいずれかを満たせばOK

一般建設業の許可では、次のいずれか1つを満たせば財産的基礎の要件をクリアできます。

基準①:自己資本が500万円以上あること

直前の決算における自己資本の額で判断する、最も基本的な基準です。「自己資本」の具体的な計算方法は法人と個人で異なります(詳しくは後述の「法人と個人事業主で証明方法は違う?」をご覧ください)。

基準②:500万円以上の資金調達能力があること

自己資本が500万円に満たない場合でも、金融機関が発行する500万円以上の預金残高証明書を提出することで要件を満たせます。

実務上、新規申請ではこの方法を使うケースが非常に多いです。ポイントは次のとおりです。

  • 証明書の名義は申請者本人であること(法人申請なら法人名義。代表者個人の口座は不可)
  • 複数の口座の残高証明書を合算して500万円以上とすることも可能(証明日を揃える必要あり)
  • 広島県では、証明日(残高の基準日)から1か月以内の残高証明書が必要です(行政庁の運用は手引きの改訂により変わることがありますので、申請時点の最新の手引きをご確認ください)。「発行日」ではなく「証明日(○月○日現在の残高)」で判断される点に注意

残高証明書は一時点の残高を証明するものなので、申請のタイミングに合わせて金融機関に依頼するスケジュール管理が重要です。準備に手間取って有効期限を過ぎてしまうと、取り直しになります。

基準③:直前5年間、許可を受けて継続して営業した実績があること(更新時)

こちらは主に更新申請の際の基準です。許可を受けてから5年間継続して営業してきた実績があれば、改めて自己資本や残高証明で財産的基礎を証明する必要はありません。

ただし、毎年の決算変更届(事業年度終了届)をきちんと提出していることが前提です。決算変更届が未提出のままだと更新申請が受け付けられないため、許可取得後の年次手続きも忘れずに行いましょう。

法人と個人事業主で証明方法は違う?

基準①の「自己資本500万円以上」は、法人と個人事業主で計算方法が異なります。

法人の場合

直前の決算における貸借対照表の**「純資産の部」の純資産合計額**で判断します。資本金そのものではなく、利益剰余金などを含めた純資産合計で判断される点に注意してください。資本金が300万円でも、利益の蓄積で純資産合計が500万円以上あれば要件を満たします。逆に、資本金が500万円でも赤字の累積で純資産合計が500万円を下回っていれば、この基準では認められません。

個人事業主の場合

広島県の手引きに沿うと、次の計算式で求めます。

元入金 + 事業主借 + 事業主利益 − 事業主貸 + 利益留保性引当金等

※「元入金」「事業主借」「事業主貸」は、青色申告決算書の貸借対照表に記載される項目です。ご自身で判断が難しい場合は、税理士や行政書士に確認することをおすすめします。

確定申告書に添付する貸借対照表(青色申告決算書)をもとに判断します。

ここで個人事業主の方が特に注意したいのが、白色申告の場合や、青色申告でも貸借対照表を作成していない場合です。建設業許可の申請には許可申請用の財務諸表(貸借対照表・損益計算書)の提出が必要なため、申告書類だけでは自己資本を証明できないケースがあります。この場合は基準②の残高証明書で対応するのが現実的です。

なお、残高証明書による証明(基準②)の場合も、法人は法人名義の口座、個人事業主は事業主本人名義の口座である必要があります。

建設業許可の500万円は現金で持っていないとダメ?

現金で500万円を用意する必要はありません。

財産的基礎の要件は「自己資本500万円以上」または「500万円以上の資金調達能力」のどちらかで満たせます。決算書上の純資産合計が500万円以上あれば、手元の現金や預金がいくらであってもこの要件はクリアできます。

逆に、いわゆるタンス預金のように現金のまま500万円を持っていても、それだけでは証明できません。残高証明書は金融機関が発行する書類なので、口座に入金したうえで残高証明書を取得する必要があります。

建設業許可の500万円はいつ必要?

財産的基礎が審査されるのは、許可申請のタイミングです。

  • 新規申請時:自己資本500万円以上、または残高証明書での証明が必要
  • 更新申請時:直前5年間、許可を受けて継続して営業していれば(基準③)、通常は自己資本や残高証明書による改めての証明は不要です
  • 許可の有効期間中:一時的に自己資本が500万円を下回っても、直ちに許可が取り消されることはありません

つまり財産的基礎は、多くの場合、新規申請時に特に問題となる要件です。ただし更新は毎年の決算変更届の提出が前提となるため、健全な経営と年次手続きの継続が大切です。

新設法人の場合はどうなる?

設立したばかりでまだ決算を迎えていない法人は、直前の決算書が存在しません。この場合は創業時(設立時)の貸借対照表で判断します。

つまり、資本金500万円以上で法人を設立すれば、設立直後でも基準①を満たせるということです。建設業許可の取得を見据えて法人を設立する場合は、資本金を500万円以上に設定しておくことを強くおすすめします。資本金500万円未満で設立した場合は、基準②の残高証明書で対応することになります。

よくある質問(Q&A)

Q. 一時的に500万円を借りて口座に入れ、残高証明書を取ってもいいですか?

A. 残高証明書は証明日時点の残高を証明する書類です。ただし、財産的基礎は建設業を適正に営むための要件であり、許可取得のみを目的とした一時的な資金移動については十分な注意が必要です。融資による資金調達も含め、実態のある資金計画を立てたうえで申請されることをおすすめします。

Q. 特定建設業の場合は基準が違うのですか?

A. はい、特定建設業では下請業者保護の観点から要件が大幅に加重されます。具体的には、①欠損の額が資本金の20%を超えないこと、②流動比率が75%以上であること、③資本金が2,000万円以上であること、④自己資本が4,000万円以上であること――この4つをすべて満たす必要があります(建設業法第15条第3号)。一般建設業の「いずれか1つ」とは考え方が大きく異なります。特定建設業の財産的基礎については、別記事で詳しく解説します。

→【内部リンク:特定建設業の財産的基礎要件とは?(公開後に設定)】

広島県知事許可における確認資料

広島県知事許可の申請では、財産的基礎の確認資料として次のいずれかを提出します。

  • 直前の決算における**財務諸表(貸借対照表)**で自己資本500万円以上を確認
  • 金融機関発行の残高証明書(500万円以上)

詳細は広島県の「建設業許可申請の手引き」(令和7年2月以降版)で確認できます。 (出典:広島県「建設業許可申請の手引き」 https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/93/kyokatebiki.html)

まとめ|500万円の証明はタイミングと書類選びがカギ

財産的基礎の要件は、整理すると次のとおりです。

  • 自己資本は法人なら純資産合計、個人なら元入金・事業主勘定を加味した計算式で判断
  • 現金で500万円を持っている必要はないが、現金のままでは証明できない
  • 財産的基礎は、多くの場合、新規申請時に特に問題となる要件。更新時は5年間の継続営業実績により判断されることが一般的
  • 残高証明書は証明日から1か月以内が目安(申請時点の手引きで要確認)。申請スケジュールと逆算して取得する必要
  • 新設法人は資本金500万円以上での設立が有利
  • 白色申告の個人事業主は、許可申請用の財務諸表の作成が別途必要になるケースが多い

財産的基礎そのものはシンプルな要件ですが、「残高証明書の証明日切れ」「個人事業主の貸借対照表が未作成」など、実務ではつまずきやすいポイントが意外と多くあります。

福山市の建設業許可申請は森岡行政書士事務所へ

森岡行政書士事務所では、福山市・尾道市・三原市・府中市・笠岡市など備後エリアを中心に、建設業許可の新規申請をサポートしています。

建設業界出身の行政書士として、現場の実情を踏まえたご提案が可能です。「自己資本が足りているか分からない」「白色申告だけど許可は取れる?」といった段階のご相談も歓迎です。

決算書や確定申告書をお持ちいただければ、財産的基礎を満たしているかその場で確認いたします。初回相談・お見積りは無料で、相談したからといって依頼しなければならないわけではありません。

「ご自身のケースで500万円要件を満たしているか分からない」という場合も、お気軽にご相談ください。

→【お問い合わせページ】 →【建設業許可サポートの料金表

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次