建設業許可新規申請の7つの要件とは?【福山の行政書士がわかりやすく解説】

この記事でわかること

  • 建設業許可の新規申請に必要な7つの要件の概要
  • 各要件で「どこが難しいのか」のポイント
  • 要件を満たせないときの対処法のヒント
目次

はじめに|建設業許可はなぜ必要なのか

建設工事は、工期が長く工事代金が高額になりやすい取引です。昨今の材料費・人件費の高騰に加え、注文者が材料を手配する場合でも材料費・運送費を含めた総額が請負代金と判断されるため、1件あたりの金額は今後さらに大きくなってくると予想されます。

建設業法では、建設業を始めるには、以下の掲げる『軽微な工事』を行う場合を除き、建設業許可が必要と定められています。(建設業法3条)

軽微な工事とは?

  • 建築一式工事であれば1件の請負代金が1,500万円(税込)未満、または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事
  • 建築工事以外の建設工事では、一件の請負金額が500万円未満の工事

今後も工事費の上昇が続くことを考えると、現時点では許可が不要な方も早めの取得を検討する価値があります。いざ必要となっても、申請から取得まで1か月半〜2か月を要するため、「必要になってから動く」では間に合わないケースも少なくありません。
さらに、取得することにより社会的な信頼度を高めることができ、元請けや発注者から選ばれやすくなります。

建設業許可の新規申請における7つの要件

建設業許可を取得するためには、以下の7つの要件すべてを満たしている必要があります。

  1. 経営業務の管理責任者(経管)の設置
  2. 専任技術者(専技)の設置
  3. 誠実性があること
  4. 財産的基礎・金銭的信用があること
  5. 欠格要件に該当しないこと
  6. 社会保険に適切に加入していること
  7. 適切な営業所があること

**一つでも要件を満たせなければ、許可は取得できません。**ひとつひとつ確認していきましょう。

要件①|経営業務の管理責任者(経管)の設置実務上のポイント

根拠条文:建設業法第7条第1号

建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であること

経営業務の管理責任者(略して「経管」)とは、建設業の経営を適切に管理できその経験を有している人のことです。法人の場合は常勤の役員(取締役等)、個人事業主の場合は事業主本人または支配人が該当します。

経管になるための主な要件

常勤役員等のうち一人が以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

  • 建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有するも者
  • 建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けたものに限る)として経営業務を管理した経験を有する者
  • 建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる敬ケインにある者とて経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者

⚠️ ワンポイントアドバイス

実際に経験があれば必ず経管になれるとは限りません行政がその経験を認めるための疎明資料(証拠書類)を提出できることが必須です。

例えば、前職で建設業者の役員として在籍していた場合は、その会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)で役員であった期間を証明します。

個人事業主として建設業を営んでいた場合は、確定申告書の写しが主な疎明資料となります。

どれだけ長いキャリアがあっても、書類で証明できなければ経験として認められません。まず書類が揃うかどうかの確認が最初のステップです。

詳しくは「経営業務の管理責任者の要件を徹底解説」の記事をご覧ください


要件②|専任技術者(専技)の設置

根拠条文:建設業法第7条第2号(一般建設業)、第15条第2号(特定建設業)

専任技術者(略して「専技」)とは、営業所ごとに配置しなければならない、工事の技術面を担う専門家のことです。経管と並んで、許可取得の壁として最もよく問題になる要件です。

専技になるための主な方法(一般建設業の場合)

  • 国家資格による証明:対象業種に応じた国家資格を保有していること
  • 学歴+実務経験による証明:指定学科を卒業後、大学卒業3年または高校卒業5年の実務経験があること
  • 実務経験のみによる証明:対象業種で10年以上の実務経験があること

実務上のポイント

専技は「常勤」であることが求められます。つまり、他の会社や営業所に専任している人を兼任させることはできません。また、経管と専技を同一人物が兼ねることも認められるケースがあります(兼任要件あり)。

詳しくは「専任技術者の要件を業種別に解説」の記事をご覧ください(準備中)。


要件③|誠実性があること

根拠条文:建設業法第7条第3号

請負契約の締結や履行に際して、不正または不誠実な行為をするおそれが明らかでないことが求められます。誠実性が問われる対象は、法人の場合は法人本体・役員・政令で定める使用人個人の場合は本人または政令で定める使用人です。

「不正・不誠実な行為」の例

  • 工事内容の虚偽申告
  • 工事代金の不当な水増し
  • 請負契約の違反行為
  • 建設業法等の規定に違反したことにより免許・認可の取消しから5年経過していない

実務上のポイント

誠実性は取得時だけでなく、許可期間中も継続して求められます。許可後に役員が不正行為をした場合、許可取消(建設業法第29条)の対象になります。


要件④|財産的基礎・金銭的信用があること

根拠条文:建設業法第7条第4号(一般建設業)、第15条第3号(特定建設業)

建設工事は、材料費や人件費などの立替払いが発生しやすい業種です。経営が不安定な業者が許可を受けると、工事の不履行や下請業者への不払いが生じかねません。そのため、一定の財産的基礎が求められます。

一般建設業の場合

以下のいずれかを満たすことが必要です。

  • 自己資本が500万円以上(純資産額)
  • 500万円以上の資金調達能力がある(金融機関の預金残高証明書等で証明)

実務上のポイント

新規申請では**「500万円以上の預金残高証明書」**で対応するケースが多いです。証明書の発行日には有効期限があります(申請日から1か月以内等)ので、申請のタイミングに合わせて取得するようにしましょう。


要件⑤|欠格要件に該当しないこと

根拠条文:建設業法第8条

欠格要件とは、建設業許可を受けることができない一定の事由のことです。欠格要件に一つでも該当する場合、許可は受けられません。

主な欠格要件(抜粋)

  • 破産者で復権を得ていない者
  • 建設業許可の取消しから5年を経過していない者
  • 禁錮以上の刑に処せられ、執行終了から5年を経過していない者
  • 建設業法・暴力団対策法等に違反して刑罰を受け、5年を経過していない者
  • 暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年未経過の者
  • 心身の故障により建設業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの

実務上のポイント

欠格要件は申請者本人だけでなく、役員全員・令第3条の使用人全員が対象となります。申請書類の中でも「登記されていないことの証明書」(法務局発行)と「身元証明書」(本籍地市区町村発行)によって確認されます。


要件⑥|社会保険に適切に加入していること

根拠:令和2年(2020年)10月1日施行の建設業法改正

令和2年10月の建設業法改正により、社会保険への適切な加入が許可要件に追加されました。

対象となる社会保険は次の3つです。

保険の種類対象となる事業者
健康保険・厚生年金保険法人、または常時5人以上の従業員を雇用する個人事業主
雇用保険法人常時1人以上、個人常時5人以上雇用している場合

実務上のポイント

法人の場合は、常用労働者が一人から健康保険・厚生年金・雇用保険に加入する必要があります。
※雇用保険については、法人の代表者の同居親族については適用が除外されます。

個人事業主の場合は、常用労働者が4人以下だと、健康保険・厚生年金の強制加入対象外になることがあります。その場合は国民健康保険・国民年金の加入が確認されます。
※雇用保険については、個人事業主の同居親族については適用が除外されます。

保険料の領収書や納付通知書のコピーで加入状況を証明しますので、書類を手元に準備しておきましょう。


要件⑦|適切な営業所があること

根拠条文:建設業法第3条、建設業法施行令第3条

営業所とは、建設工事の請負契約を締結する場所のことです。単なる倉庫や現場事務所は営業所として認められません。

営業所として認められるための主な条件

  • 外部から来客を迎え入れ、建設工事の請負契約の締結等の実体的な業務を行っていること
  • 電話・机・各種事務台帳等を備えていること
  • 経営業務の管理責任者または令第3条の使用人(支配人等)が常勤していること
  • 専任技術者が常勤していること

実務上のポイント

自宅を営業所とする場合も認められますが、事務所スペースが居住部分と明確に区分されているかが問われます。また、賃貸の場合は使用承諾書賃貸借契約書の提出が求められることがあります(行政庁により異なります)。


7つの要件のまとめ

要件根拠条文チェックポイント
①経管の設置建設業法第7条第1号建設業での経営経験5年以上が証明できるか
②専任技術者の設置建設業法第7条第2号国家資格または実務経験10年以上が証明できるか
③誠実性建設業法第7条第3号不正行為・処分歴がないか
④財産的基礎建設業法第7条第4号自己資本500万円以上または預金残高500万円以上
⑤欠格要件非該当建設業法第8条役員全員の欠格事由を確認
⑥社会保険加入建設業法改正(R2.10)健康保険・厚生年金・雇用保険の加入状況
⑦適切な営業所建設業法第3条実体的業務ができる事務所があるか

よくある質問(FAQ)

Q. 要件を満たせない場合、どうすればよいですか?

要件によっては、経験期間の不足なら計画的な準備期間を設ける、財産的基礎なら資金調達を検討するなど、対処法があります。まずは現状を整理してから専門家に相談することをおすすめします。

Q. 個人事業主でも建設業許可は取得できますか?

はい、取得できます。ただし、法人と異なり経管と専技を1人で兼ねるケースが多く、証明書類の取得方法が変わることがあります。

Q. 建設業許可の審査期間はどれくらいかかりますか?

広島県知事許可の場合、申請から約1〜2ヶ月が目安です(審査状況により前後します)。
大臣許可の場合は、3~4ヵ月が目明日となっております。
※ただし、補正があった場合、補正に要した日数を除いて計算します。

Q. 行政書士に依頼するメリットは何ですか?

書類収集・作成の手間を大幅に削減できます。また、要件の判断は複雑なケースも多く、専門家が事前に要件充足を確認することで補正のリスクを下げることができます。


まとめ|まずは要件チェックから

建設業許可の新規申請には、7つの要件すべてを満たすことが必要です。要件を一つでも見落とすと、申請が受理されず時間と費用が無駄になってしまいます。

当事務所(森岡行政書士事務所)では、福山・尾道・三原・府中・笠岡・岡山県南部エリアの建設業者様の許可申請をサポートしています。「自分の場合、要件を満たせているのか?」という事前相談も無料で承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

 各要件の詳細はこちら /

  • 【準備中】経営業務の管理責任者(経管)の要件を徹底解説
  • 【準備中】専任技術者(専技)の要件を業種別に解説
  • 【準備中】財産的基礎・金銭的信用の証明方法
  • 【準備中】欠格要件の確認方法と必要書類
  • 【準備中】社会保険加入要件の確認方法
  • 【準備中】営業所として認められるための条件

参考:建設業法第7条・第8条・第15条、建設業法施行令第3条
国土交通省「建設業許可の手引き」(最新版)
広島県「建設業許可申請ガイド(令和7年2月版)」

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