経営業務の管理責任者(経管)とは?要件と必要書類を福山の行政書士が解説

建設業許可の新規申請では、まず確認が必要になるのが**経営業務の管理責任者(経管)**の要件です。「自分は要件を満たしているのか?」「どんな書類が必要なのか?」と悩まれる方は多く、必要資料が揃わず申請が進まないケースも少なくありません。

なお、現在の正式名称は「常勤役員等(経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する者)」ですが、実務上は現在でも「経管」という呼称が広く使われています。

本記事では、広島県の建設業許可申請の手引き(令和7年2月版)をもとに、経管の要件・証明方法・注意点をわかりやすく解説します。


目次

経営業務の管理責任者(経管)とは

「経管の要件」とは、厳密には**「経営業務を適切に管理できる体制が整っているか」**を確認するための要件です。

2020年(令和2年)の建設業法改正以前は、「一定経験を持つ経管を1人置く」という考え方でした。しかし改正後は、**「会社として経営業務管理体制が整っているか」**を重視する制度に変更されています。

具体的には、以下のいずれかを満たす必要があります。

イ(単独型)
十分な経営経験を持つ常勤役員等が1人いること

ロ(体制型)
一定経験を持つ常勤役員等1人に加え、

  • 財務管理
  • 労務管理
  • 業務運営

について、それぞれ一定経験を有する直接補佐者を配置する体制であること

つまり現在の制度では、「経管=特定の1人」ではなく、**「会社として経営業務管理体制が整っているか」**が重視されています。

根拠条文:建設業法第7条第1号、建設業法施行規則第7条


常勤役員等とは?|誰が経管になれるのか

法人の場合

法人の場合、経管になれるのは常勤の役員(取締役・執行役・業務を執行する社員など)です。監査役・会計参与・事務局長などは原則として含まれません。

また、取締役に準ずる権限委譲を受けた執行役員が経管になれる場合もありますが、建設業に関する事業の一部のみを担当している場合は認められません。

個人事業主の場合

個人事業主本人、または支配人が経管になります。支配人とは、商業登記された、営業に関する包括的な代理権を有する商業使用人のことです。


2つのパターンと要件の内容

パターンイ(単独型)

常勤役員等のうち1人が、以下のいずれかを満たすことで体制を整える方法です。多くの中小建設業者はこちらに該当します。

① 建設業に関し5年以上の経管経験

建設業において、業務を執行する社員・取締役・個人事業主、または支店長・営業所長等として建設業部門における契約締結権限を持ち対外的に営業取引上の責任を継続的に負う地位にあり、経営業務を総合的に管理した経験が5年以上あること。

ポイント: 「建設業に関し」とあるため、業種の区別はなく、全ての建設業が対象になります。屋根工事業での経験があれば、内装仕上工事業の許可申請にも活用できます。

② 建設業に関し5年以上の「準ずる地位」での経営業務管理経験

取締役会設置会社において、取締役会の決議により特定の事業部門の業務執行権限の委譲を受け、代表取締役の指揮・命令のもとで具体的な業務執行に専念した経験が5年以上あること。

いわゆる「執行役員」として、会社から一定の業務執行権限を委譲されていたケースが典型例です。

③ 建設業に関し6年以上の補佐経験

役員・支店長・営業所長等に次ぐ職制上の地位にあって、資金調達・技術者や技能者の配置・下請業者との契約締結など経営業務全般に従事した経験が6年以上あること。

経験年数の計算について: 経験期間は連続している必要はなく、通算して5年または6年あれば足ります。なお、年数の計算は「月単位」で行われ、始期・終期を両方算入しない方法(いわゆる片落とし)で計算します。


パターンロ(体制型)

単独で①〜③を満たす役員がいない場合でも、常勤役員等1人+直接補佐者3名の体制を組むことで要件を満たせます。

常勤役員等の要件:

建設業に関し2年以上の役員等経験、かつ5年以上の役員等または役員等に次ぐ職制上の地位(財務管理・労務管理・業務運営のいずれかを担当)での経験を有すること。

直接補佐者の要件:

常勤役員等を直接に補佐する者として、次の3種の業務経験を持つ者をそれぞれ置くこと。

役割主な業務内容
財務管理担当資金調達、施工中の資金繰り管理、下請代金の支払いなど
労務管理担当勤怠管理、社会保険手続きなど
業務運営担当経営方針・運営方針の策定・実施など

注意点: 直接補佐者の経験は、申請する会社(自社)における5年以上の業務経験に限られます。他社や他業種での経験は対象外です。また「直接に補佐する」とは、常勤役員等との間に他の者を介在させず、組織体系上・実態上その役員から直接指揮命令を受ける関係を指します。

パターンロは証明書類が複雑になります。まずはパターンイで要件を満たせるかを確認するのが現実的です。


「常勤性」について(重要)

経管は、営業所に常勤していることが必須です。広島県の手引きには次のように定められています。

「常勤」とは、原則として本店等において休日その他勤務を要しない日を除き、一定の計画のもとに毎日所定の時間中、その職務に従事している状態をいいます。 (広島県建設業許可申請の手引き 令和7年2月版)

常勤として認められないケース

以下の方は常勤性が認められず、経管にはなれません。

  • 他の会社・事業所の常勤職員を兼ねている人
  • 他の法人の清算人を兼ねている人
  • 国または地方公共団体の議会議員

兼任に関する注意点

宅地建物取引士・管理建築士など、他の法令で専任が必要な資格者との兼任は原則できません。ただし、同一営業体かつ同一の営業所内であれば兼任が認められます。

たとえば、宅建士の資格を持つ方が同じ会社・同じ営業所で経管を兼ねることは可能です。

常勤性の確認資料

常勤であることを証明するため、申請時には以下の書類が必要です(広島県の手引き P.74)。

立場主な確認資料
法人の役員等・従業員①社会保険標準報酬決定通知書(写)または②社会保険(健康保険・厚生年金保険)資格取得届(写)
個人事業主本人・支配人①申立書(常時業務に従事しており、他者への勤務をしていない旨を記載)、必要な場合②確定申告書(写)
75歳以上(後期高齢者)雇用証明書+雇用保険関係書類等(複数パターンあり。詳細は手引きP.74参照)
出向者別途確認資料が必要(手引きP.80参照)

経営経験の証明書類(疎明資料)

経管の要件を満たしていても、書類で証明できなければ認められません。これが実務上の最大のポイントです。

法人の役員だった場合

証明する内容主な書類
役員であった期間法人の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
建設業を営んでいた事実建設業許可証の写し、または建設工事の請負契約書・注文書など

個人事業主として建設業を営んでいた場合

証明する内容主な書類
建設業を営んでいた期間確定申告書(表紙+収支内訳書)の写し
建設業を営んでいた事実建設業許可証の写し、または請負契約書・注文書など

注意: 確定申告書がない年度がある場合、その期間の経験は認められないケースがあります。古い確定申告書は大切に保管しておきましょう。なお、申告書控えを紛失した場合は、税務署での閲覧や保有個人情報の開示請求により取得できる場合がありますので、まず税務署に相談してみてください。

証明者について

経管証明書(様式第七号)の証明者は、証明対象の期間に被証明者が在籍していた法人または個人事業主です。

前の会社が倒産している場合や、証明者との関係が悪くなっている場合など、正当な理由で証明を受けられないときは、広島県建設産業課に個別に相談が必要です。


よくあるつまずきポイント

① 書類が古くて残っていない

確定申告書・請負契約書など10年以上前の書類が見当たらないケースがあります。税務署での申告書控えの閲覧や保有個人情報の開示請求により取得できる場合がありますので、まず税務署に相談してみてください。

② 前職の会社が証明してくれない

退職した会社が証明書の作成に応じてくれないことがあります。この場合は広島県に相談のうえ、代替書類で対応できるか確認しましょう。

③ 経管と専任技術者(専技)を一人で兼ねられるか

可能です。同一営業所において両方の要件を満たしている場合、一人が兼任できます。一人親方や小規模な法人では、代表者が両方を兼ねるケースが多いです。

④ 複数の会社での経験を合算できるか

できます。A社での経験3年+B社での経験2年で合計5年という計算が認められます。ただし、それぞれの会社から証明書を取得する必要があります。


こんな場合は要注意

次のようなケースは、経管要件の確認が特に重要です。早めに専門家に相談することをおすすめします。

  • 法人成りしたばかり:個人事業主時代の経験を法人の経管経験として使えるか、証明書類の揃え方に注意が必要です。
  • 一人親方から法人化:経験の引き継ぎと証明方法を事前に整理しておく必要があります。
  • 前職の証明が取れない:倒産・廃業・関係悪化など、証明者から書類をもらえないケースは代替資料の検討が必要です。
  • 途中で業種変更している:異なる業種での経験をどう合算・証明するかの判断が必要です。
  • 役員変更が多い:在籍期間の証明が複雑になりやすく、登記簿の履歴確認が重要です。

まとめ|まずは「書類が揃うか」を確認

経管の要件を満たすためには、次の2点が揃っていることが必要です。

  1. 経験年数(5年または6年)を満たしていること
  2. その経験を書類で証明できること

どれだけ長い経験があっても、書類が揃わなければ申請できません。「経験はある、でも書類が…」という方こそ、早めに専門家に相談することをおすすめします。


建設業許可のことなら森岡行政書士事務所へ

森岡行政書士事務所では、経管要件の確認から必要書類の収集・申請書類の作成・提出まで、ワンストップでサポートしています。「許可が取れるか分からない」「昔の経験が使えるか知りたい」という段階でもお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。

福山市・尾道市・三原市・府中市・神石高原町など広島県東部・岡山県西部エリアに対応しています。

📞 084-975-8400
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